パリはこのところ強い風が吹き荒れるたいそう寒い日々であります。2月〜3月にかけて雨の多い季節が通常なのですが、今年は晴れて強風か雪模様という寒波が続き、街は毎日冷えきっています。まだまだ春の訪れは遠いのでありましょうか。
子供達が遊ぶモノクロプリント絵柄の陶器は、蓋付きの一人用スープの器。子供達の絵柄であっても、19世紀の中頃に造られた大人用であります。コンソメスープ用と思しきこの器は、当時流行った黒色の雰囲気が蓋のつまみや両脇の取っ手部分のカタチに上手く反映してまとまっています。さり気なくエレガントでありながら貴族的でもあり、大衆性とは対極にある何か独特で高貴な趣が好ましく思えます。ちょっとした装身具やポプリ、または食卓で砂糖やお菓子入れとしても使える器であります。
無事にパリ帰還して数日が過ぎ、早速買付け仕事が始まりました。相変わらずの悪天候続きで雨や強風が吹いたり、一時の酷い寒波は過ぎ去ったとはいえ、パリの春はまだまだ先であります。
さて、パリ帰還後の最初のご紹介アイテムは19世紀のティーポット。書斎の仕事机の上、または寝室のサイドテーブルの上などで使われた一人用のティーポットであります。ほとんどは磁器製のこの類いのポットにはティーを保温する円筒状の台座が付き、その中には熱した石炭を入れる小さな取っ手付きの容器が入っています。19世紀のフランス、紅茶とともに好まれた薬草茶をこのポットに入れ、やはり同じく磁器製のカップで楽しんだのであります。紅茶に浸したプティットマドレーヌの味から幼少期の記憶が突然甦り、円環的時間の概念をもとに綴られた長編小説「失われた時を求めて」を残したプルーストも、これに似たティーポットを愛用していたことでありましょう。
長くなった東京滞在はそろそろ終わりに近くなり、来週からはパリ帰還の準備が始まります。まだヒドい寒波で冷え込んでいると聞くパリにはあまり帰りたくない気もしますが、長らくご無沙汰している買付け仕事を思うとパリ帰還の気も急くのであります。フランスの寒波が3月に向けて少しは和らぐ事を祈りつつ、たいそう暫く振りに会うパリの古物業者仲間の顔ぶれを思います。買付け仕事の多忙な日程が始まる前のこの2週間ほどは、和食三昧の日々を願い日本の味をゆっくり楽しむつもりであります。
パリ帰還出発までの今週から来週末にかけて、いつもの定休日以外は毎日ECRITUREに居ますので、皆様どうぞお気軽にお越しくださいませ。
写真中央上の小さな袋は、18世紀のシルクで作ったオリジナルアイテム。南仏のラベンダーを入れたサシェであります。
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